2010年11月30日

子の養育費が支払われない・・・どうしたら?

 未成年の子がいる夫婦が離婚をした場合,一方が親権者となり,他方は養育費を支払う義務を負担するのが,法の定めです。
 しかしながら,現実には,養育費の支払いが全くなされていないケースによく遭遇します。「養育費がなければ,この子を育てていけない!どうしたらよいでしょう?」という相談です。
 養育費の支払いがなされない場合,最も困るのはお子さんに他なりません。養育費の支払確保については,一般に次のような方法が考えられます。


1 まず,養育費の支払について約束や判決等を取得しましょう。

 @ 金額は,夫婦間の収入に応じた基準により,決められることになります。

 A 手続については,次のものを利用すると,養育費の支払が滞った場合に強制執行を行うことが可能になります。備えあれば憂いなしです。
  ア 家庭裁判所の調停,審判,人事訴訟
  イ 公証人役場の公正証書
 
 B 約束する時期は,離婚や親権者の指定と同時に行いましょう。親権は決めたのに,1月もたたないうちに養育費の「よ」の字すら聞かなくなったという話は,よく耳にします。


2 それにもかかわらず,養育費が支払われなくなった場合,法は,強制執行という方法を準備しています。
  強制執行を利用できるのは,先のAに掲げた場合のみですから,注意してください。
  ただ,強制執行は,相手方に支払うだけの資産がある場合に,これを強制的に支払いに充てるものです。ですから,相手方に全く資産がない場合,養育費の支払約束はしたものの相手方から全く養育費が支払われないという事態を,招くことがあります。


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2010年11月15日

裁判所が親権を定める基準について教えてください。

 未成年の子がいる夫婦が離婚する場合,民法は,父母の一方を親権者に定めることとしています。

 夫婦間の協議により子の親権者を定めることができますので,この場合には,裁判で親権を争う必要がないことになります。法は,夫婦間の話し合いにより,離婚後の親権者を定めることを認めているわけです。例えば,離婚届には親権者の記入欄がありますが,これは夫婦間の協議により親権者が定められた場合に記入する項目です。

 夫婦間の協議により子の親権者が定まらなかった場合,離婚をする際には,裁判所が子の親権者を定めることになります。
 問題は,親権者を定める際の基準です。
 これは「子の利益」という漠然としたもので,具体的には,次のような事情を総合的に考慮して,親権者が定められることになります。

1 親側の事情
 @ 養育体制→経済状態,居住環境,家庭環境,教育環境など
 A 子に対する愛情,養育意思
 B 心身の健全性

2 子側の事情
 @ 子の年齢,心身の状況→子の年齢が低いほど,母親による監護が重視される傾向があります。
 A 環境の継続性→現在の養育環境が長期間にわたって継続している場合には,環境を急激に変えるべきではないという考えです。
 B 子の意思

 裁判所は,このような多くの事情を総合的に考えて,親権者を指定することになります。
 ですから,「このような場合には必ずこうなる」といった方程式のようなものは存在せず,親権者の指定は,あくまでケース・バイ・ケースです。

 親権者指定の最終的な基準は「子の利益」です。
 「私がどれだけ子どもを愛しているか」ということだけで,裁判所を説得するのは難しいでしょう。
 大切なことは,「子の利益」に適うような具体的な環境を整備していくことです。
 裁判において親権を獲得するためには,子に対する愛情があることは当然の前提として,その子が十分な養育を受けることができる環境を可能な限り整備していく努力が求められます。
 まさに,このような努力こそが「子の利益」に適うことになります。
 

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2010年11月08日

慰謝料A 〜婚姻期間と慰謝料〜

1 前回は,婚姻の破綻と慰謝料との関係についてお話しました。
  つまり,離婚慰謝料を請求する際には「婚姻の破綻」というものが重視されるということでした。
  今回は,少し視点を変えて「婚姻の破綻」というものを考えてみたいと思います。

2 次の説例を考えてみたいと思います。

  『 私は,6ヶ月前に,現在の夫と結婚をしたばかりです。結婚披露宴には職場の上司や同僚,たくさんの友人に出席してもらって,祝福してもらいました。それにもかかわらず,先日,夫から,職場の同僚と不倫してしまい,離婚して欲しいなどと言われました。今,離婚しては,結婚披露宴に出席してくれた皆さんに会わす顔がありません。このような夫に1000万円の慰謝料を支払ってもらうことはできますか。』

  とんでもない夫です。この妻は当然に慰謝料を支払ってもらう権利があるでしょう。しかしながら・・・問題はその金額です。
この妻のお気持ちはよく推察するところなのですが,現実の裁判では,そのような金額が認められることは,まずないと思われます。

3 離婚慰謝料の支払を求める裁判では,300万円以下の支払を命じるものが多く,裁判例の一般的な傾向からすると,先の設例においては,請求する金額が多過ぎることになります。
  最終的に慰謝料の金額を定めるのは裁判所なのですが,裁判所は様々な事情を考慮して,適正と考える慰謝料額を定めることになります。この慰謝料を定める際に重要な役割を果たしているものが「婚姻期間の長さ」です。

  前回お話したように,離婚慰謝料の請求が認められるためには
@夫の不倫行為 →A夫婦間の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
という関係が認められることが必要となります。

  この関係を使って,婚姻期間30年の場合と本件の6ヶ月の場合を比べてみましょう。
@夫の不倫行為 →A30年の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
@夫の不倫行為 →A6ヶ月の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛

  これだけを考えると,@夫の不倫行為によって,A30年もの婚姻生活が破綻させられた場合の方が,A6ヶ月の婚姻生活が破綻させられた場合と比べて,違法性の度合いが高いことになります。30年もの婚姻生活を破綻させられた妻からすると,6ヶ月の婚姻生活を送っていたに過ぎない妻は,まだマシじゃないのよ・・・ということになるのでしょう。

  先の設例で請求した離婚慰謝料が多額と考えられる主要な理由は,婚姻期間が6ヶ月であり,とても短いからなのです。
  もちろん,裁判所が離婚慰謝料を定める際には,婚姻期間以外にも様々なことを考慮するわけなのですが,「婚姻期間の長さ」という要素はとても重要なものと考えられており,離婚慰謝料を請求する際には,注意が必要です。


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2010年11月04日

慰謝料@ 〜婚姻の破綻と慰謝料〜

こんにちは。
内田法律事務所の久保田といいます。
このブログでは,離婚でよく問題となる点や個人的な疑問点,雑感などを書き記していこうと思います。
どうか宜しくお願いします。

1 離婚事件において,必ずといって良いほど問題になるのが「慰謝料」の問題です。
  「慰謝料」は,人の精神的苦痛を評価して金銭に置き換えるものです。ですから,被った精神的苦痛の度合いに応じて,その金額が増えたり減ったりすることになります。

  例えば次のような場合,妻は,夫と離婚する際に,慰謝料を支払ってもらうことはできるでしょうか。

  『 私は,現在の夫と結婚して20年になります。先月,ある日突然に,夫から勤務先の部下と不倫関係にあるから,私と離婚したいなどと言われました。余りに一方的な申し出に,私は強いショックを受け,1月ほど寝込んでしまいました。』

  この夫婦の結婚生活は,夫の不倫という一方的な行動により,破綻してしまいました。ですから,妻は,離婚する際に,夫に対して慰謝料を請求することができます。

2 この結論は当然のようですが,なぜ,この場合に慰謝料を請求することができるのでしょうか?もう少し考えてみようと思います。
  会社の同僚や友人からの心無い一言で,大きく心が傷つくことは良く経験しますが,このような場合に「慰謝料」という話題が大きく取り上げられることは少ないでしょう。
  では,なぜ離婚の際には,必ず「慰謝料」が問題となるのでしょうか。
  それは,相手方の加害行為により「婚姻関係が破綻させられた」からなのです。

  先の説例でいうと,
  @夫の不倫行為 → A夫婦間の婚姻関係の破綻 → B妻の精神的苦痛
 という関係が認められることにより,損害賠償を請求することができることになります。
  つまり,損害賠償を請求できるためには,@夫の不倫行為という加害行為のみならず,A婚姻関係という法的保護に値する利益が侵害されたことが必要になります(権利侵害の要件とか違法性の要件とか言われています。)。

  離婚問題を考える際には,このA婚姻関係の破綻という要件が,大きな問題となります。

3 さて,これを踏まえて,今度は,夫の言い分を聞いてみたいと思います。

  『 私が会社の部下と不倫をしたのは事実ですが,その不倫関係に入る前には,私達の関係は既に終わっていました。私たち夫婦は,結婚して1年もすると,男女の関係はなくなり,会話も全くないようになりました。妻は専業主婦であるにもかかわらず掃除や洗濯といった家事は一切やりません。私は,10年くらい前から,単身赴任のため妻とは事実上別居状態になっていました。』

  ずいぶんと話が変わってきました。
  もし,夫の言うとおり,夫の不倫以前から,既に婚姻関係が破綻していたならば,妻は夫に慰謝料を請求することはできません。
  なぜなら,不倫の以前から婚姻関係が破綻していたというのですから,
「@夫の不倫行為 → A夫婦間の婚姻関係の破綻」という関係が成り立たないからです。

4 今日扱った話題は「婚姻関係の破綻」に関するものでした。
  不貞による慰謝料を請求するケースでは,不倫をした方からこのような主張がよく行われます。つまり「不倫をする以前から,夫婦間の婚姻関係は終わっていた。」というものです。
  この主張により,裁判は一転して泥沼化します。裁判では,長年の夫婦生活で,こんなことがあったから関係は終わっていた,あんなことがあったから関係は終わっていない等のやりとりが繰り広げられることになります。
  不倫の証拠を確実に掴んだからといって,100%安心することはできません。不倫した方から,以前より婚姻関係は破綻していたと主張されることが多いからです。
  他方,不倫以前から婚姻関係が既に破綻していた等という主張は簡単には認められないように思います。破綻していたのなら,なぜ離婚していないのでしょう。法は「合意」離婚という簡易な方法を認めています。この破綻の主張が裁判上で簡単に認められると考えると,大きな誤りとなります。


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posted by benuchida at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 離婚まめ知識
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