2010年11月08日

慰謝料A 〜婚姻期間と慰謝料〜

1 前回は,婚姻の破綻と慰謝料との関係についてお話しました。
  つまり,離婚慰謝料を請求する際には「婚姻の破綻」というものが重視されるということでした。
  今回は,少し視点を変えて「婚姻の破綻」というものを考えてみたいと思います。

2 次の説例を考えてみたいと思います。

  『 私は,6ヶ月前に,現在の夫と結婚をしたばかりです。結婚披露宴には職場の上司や同僚,たくさんの友人に出席してもらって,祝福してもらいました。それにもかかわらず,先日,夫から,職場の同僚と不倫してしまい,離婚して欲しいなどと言われました。今,離婚しては,結婚披露宴に出席してくれた皆さんに会わす顔がありません。このような夫に1000万円の慰謝料を支払ってもらうことはできますか。』

  とんでもない夫です。この妻は当然に慰謝料を支払ってもらう権利があるでしょう。しかしながら・・・問題はその金額です。
この妻のお気持ちはよく推察するところなのですが,現実の裁判では,そのような金額が認められることは,まずないと思われます。

3 離婚慰謝料の支払を求める裁判では,300万円以下の支払を命じるものが多く,裁判例の一般的な傾向からすると,先の設例においては,請求する金額が多過ぎることになります。
  最終的に慰謝料の金額を定めるのは裁判所なのですが,裁判所は様々な事情を考慮して,適正と考える慰謝料額を定めることになります。この慰謝料を定める際に重要な役割を果たしているものが「婚姻期間の長さ」です。

  前回お話したように,離婚慰謝料の請求が認められるためには
@夫の不倫行為 →A夫婦間の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
という関係が認められることが必要となります。

  この関係を使って,婚姻期間30年の場合と本件の6ヶ月の場合を比べてみましょう。
@夫の不倫行為 →A30年の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
@夫の不倫行為 →A6ヶ月の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛

  これだけを考えると,@夫の不倫行為によって,A30年もの婚姻生活が破綻させられた場合の方が,A6ヶ月の婚姻生活が破綻させられた場合と比べて,違法性の度合いが高いことになります。30年もの婚姻生活を破綻させられた妻からすると,6ヶ月の婚姻生活を送っていたに過ぎない妻は,まだマシじゃないのよ・・・ということになるのでしょう。

  先の設例で請求した離婚慰謝料が多額と考えられる主要な理由は,婚姻期間が6ヶ月であり,とても短いからなのです。
  もちろん,裁判所が離婚慰謝料を定める際には,婚姻期間以外にも様々なことを考慮するわけなのですが,「婚姻期間の長さ」という要素はとても重要なものと考えられており,離婚慰謝料を請求する際には,注意が必要です。


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posted by benuchida at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 離婚まめ知識
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