2011年01月31日

その他@ 〜離婚と相続人〜

1 離婚に伴う財産の給付については,これまでお話してきたとおり,一般に次の3点があげられます。
  @ 離婚慰謝料
  A 養育費
  B 財産分与
  これら3つに加えて,失念してはならないことがあります。それは,離婚により「配偶者」という相続人の地位が失われてしまうことです。 
  民法890条は「被相続人の配偶者は,常に相続人となる」と定めています。離婚により「配偶者」の地位を失うことになりますから,離婚後は,元配偶者の遺産について相続する資格を失うことになるわけです。

2 この相続人資格の喪失という点で特に注意しておく必要があるのは,次のような場合です。
  妻が,夫と合意離婚だけを行い,@離婚慰謝料,A養育費,B財産分与等について十分な合意をしなかった場合です。この場合には,妻は離婚により十分な財産的給付を得なかったばかりでなく,夫の相続人という地位をも失うことになります。
  例えば,妻が,長年連れ添った夫から,離婚話を切り出されたとしましょう。この夫婦はかなりの高齢です。夫は長年にわたってある会社に勤務しており,退職後は多額の退職金が支給される予定です。また,夫は旧家の長男であり,先祖代々受け継いできた土地をたくさん所有しています。
この場合に,妻が,十分な財産的給付を受けることがないまま合意離婚に応じ,その半年後に偶然にも夫が病死してしまった場合を考えてみてください。

  この場合,妻は,離婚により十分な財産的給付を受けることがないまま,夫の相続人という地位を失っています。ですから,元夫の退職金や不動産等の遺産について,当然には相続できないことにになるわけです。
  他方で妻が合意離婚に応じなかった場合には,夫の妻(配偶者)であることに変わりはありませんから,夫の遺産を相続できる地位を有していることになります。
  2つの場合を比較すれば,残された妻の生活にとって,どちらが有利であったかは一目瞭然です。安易な合意離婚に応じたばかりに,妻は,老後の生活に大きな不安を残すことになってしまいました。

3 このように,離婚により,「配偶者」という相続人の資格を喪失することには十分な配慮が必要です。
  特にご高齢の夫婦が離婚される場合,相続という問題を念頭に置いた上,離婚の話し合いに臨まれることは,決して不合理なことではないように思います。
  離婚は,相続人の地位の喪失という重大な効果を生じることにも,十分な注意が必要です。

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 つらい話も多くありますが,有意義な意見がたくさんあり,勉強になります。



posted by benuchida at 14:24| 離婚まめ知識
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