2012年01月24日

浜崎あゆみの離婚と法律

 報道によるとネバタ州で国際結婚した浜崎あゆみは,戸籍法上の届け出を怠り日本の戸籍上は結婚していなかったらしい。
http://news.nifty.com/cs/entame/showbizddetail/postseven-20120119-81661/1.htm

 では,この結婚は,日本法上は有効なのであろうか。
法の適用に関する通則法には,以下の通り定められている。,

第二十四条  婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2  婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
3  前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

 この第2項により,婚姻挙行地であるネバタ州法で有効な方式の婚姻であれば,日本法的にも婚姻は有効である。
 つまり,浜崎あゆみの婚姻は有効というわけだ。

 私が経験したケースでもA国人とA国で結婚し,離婚し,日本戸籍上は離婚となっていったが,A国法上は離婚できていなかったという例があった。
 その人物が今度B国人と婚姻したのだが,そのB国人との結婚が「重婚」ではないかが裁判での争点となった。

 難しい問題がいろいろあり,それにつき法的判断が出される前に和解になったのだが,国際結婚の難しさを思い知った。

 普通の結婚であれば,戸籍を見れば,結婚しているか,離婚してるかが簡単に分かる。
 しかし,国際結婚では戸籍上は離婚していても日本法的に離婚になっていなかったり(上のケース),戸籍上は結婚していなくても日本法的に結婚になっていたり(浜崎あゆみのケース)することもあるわけだ。

 国際結婚・離婚をする人はくれぐれも注意が必要である。
posted by benuchida at 19:04| 離婚まめ知識

2011年01月31日

その他@ 〜離婚と相続人〜

1 離婚に伴う財産の給付については,これまでお話してきたとおり,一般に次の3点があげられます。
  @ 離婚慰謝料
  A 養育費
  B 財産分与
  これら3つに加えて,失念してはならないことがあります。それは,離婚により「配偶者」という相続人の地位が失われてしまうことです。 
  民法890条は「被相続人の配偶者は,常に相続人となる」と定めています。離婚により「配偶者」の地位を失うことになりますから,離婚後は,元配偶者の遺産について相続する資格を失うことになるわけです。

2 この相続人資格の喪失という点で特に注意しておく必要があるのは,次のような場合です。
  妻が,夫と合意離婚だけを行い,@離婚慰謝料,A養育費,B財産分与等について十分な合意をしなかった場合です。この場合には,妻は離婚により十分な財産的給付を得なかったばかりでなく,夫の相続人という地位をも失うことになります。
  例えば,妻が,長年連れ添った夫から,離婚話を切り出されたとしましょう。この夫婦はかなりの高齢です。夫は長年にわたってある会社に勤務しており,退職後は多額の退職金が支給される予定です。また,夫は旧家の長男であり,先祖代々受け継いできた土地をたくさん所有しています。
この場合に,妻が,十分な財産的給付を受けることがないまま合意離婚に応じ,その半年後に偶然にも夫が病死してしまった場合を考えてみてください。

  この場合,妻は,離婚により十分な財産的給付を受けることがないまま,夫の相続人という地位を失っています。ですから,元夫の退職金や不動産等の遺産について,当然には相続できないことにになるわけです。
  他方で妻が合意離婚に応じなかった場合には,夫の妻(配偶者)であることに変わりはありませんから,夫の遺産を相続できる地位を有していることになります。
  2つの場合を比較すれば,残された妻の生活にとって,どちらが有利であったかは一目瞭然です。安易な合意離婚に応じたばかりに,妻は,老後の生活に大きな不安を残すことになってしまいました。

3 このように,離婚により,「配偶者」という相続人の資格を喪失することには十分な配慮が必要です。
  特にご高齢の夫婦が離婚される場合,相続という問題を念頭に置いた上,離婚の話し合いに臨まれることは,決して不合理なことではないように思います。
  離婚は,相続人の地位の喪失という重大な効果を生じることにも,十分な注意が必要です。

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posted by benuchida at 14:24| 離婚まめ知識

2010年12月24日

離婚@ 〜離婚原因〜

1 我が国においては,離婚の方法として,@合意離婚とA裁判離婚があげられます。
  夫婦間の合意があれば,@合意離婚の方法により,離婚することが可能になります。
  問題は,夫婦間の合意がない場合です。夫婦の一方が離婚する意思を持っていても,もう他方が離婚する意思を持っていない場合には,A裁判により離婚するほかありません。

2 それでは,裁判離婚をするには,いかなる条件が必要となるのでしょうか。
  民法770条1項は,この条件を次のように定めています。
 @ 不貞行為
 A 悪意の遺棄
 B 生死が3年以上明らかでないとき
 C 強度の精神病
 D その他婚姻を継続し難い重大な事由
  裁判所が@からDのいずれかの条件に当たると判断した場合には,離婚が認められることになります。逆に,裁判所が@からDのいずれの条件にも当たらないと判断した場合には,離婚が認めら れないことになるのです。  
  ですから,夫婦の一方がどれだけ強く離婚を望んでいるとしても,裁判所が離婚原因があるとはいえないと判断した場合には,離婚は認められません。このことは一見当たり前のようですが,強 く離婚を望んでいる方にとっては重大な障害になるわけです。
  「私がこんなにも離婚を望んでいるのに,なぜ国が妨害するのだ!」といったご不満をよく耳にするのですが,それは法が先のように離婚できる条件を制限しているからに他なりません。裏を返 せば,法は,婚姻という制度に重きを置き,これを無制限に解消することを認めていないのです。
  これから結婚される方に水をさすつもりは毛頭ないのですが・・・結婚とは,無制限の解消が許されない重大な制度ということになります。

3 夫婦間で離婚の合意が得られない場合には,離婚を望む方が,@からDのいずれかの条件を充たすことを,裁判所に対して主張し立証することになります。
  これは決して簡単でないことは想像がつきます。
  不貞行為の条件を考えてみましょう。相手方は不倫などしていないと言っています。相手方の不審な行動はあるものの,メールや写真等の証拠はない。不倫相手の住所はもちろん氏名すらわからない。
  また,裁判を進めるにも,弁護士のところへ何度も足を運ばなければならない。裁判所での手続は月に1度くらいしか行われない。手続も1回10分くらいで終わってしまう・・・。
  「私のカンでは不倫しているのは明らかなのに,なぜ私がこんなに苦労しなけりゃならないの!」というご不満が生じることもあるでしょう。
  ですが,法は,離婚できる条件を一定のものに制限しています。裁判離婚が認められるのは,裁判所は先の条件を認めた場合のみです。
  離婚をするのも楽ではありません。離婚を決意される場合には,相応のご負担があることをご承知ください。


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posted by benuchida at 14:49| 離婚まめ知識

2010年11月08日

慰謝料A 〜婚姻期間と慰謝料〜

1 前回は,婚姻の破綻と慰謝料との関係についてお話しました。
  つまり,離婚慰謝料を請求する際には「婚姻の破綻」というものが重視されるということでした。
  今回は,少し視点を変えて「婚姻の破綻」というものを考えてみたいと思います。

2 次の説例を考えてみたいと思います。

  『 私は,6ヶ月前に,現在の夫と結婚をしたばかりです。結婚披露宴には職場の上司や同僚,たくさんの友人に出席してもらって,祝福してもらいました。それにもかかわらず,先日,夫から,職場の同僚と不倫してしまい,離婚して欲しいなどと言われました。今,離婚しては,結婚披露宴に出席してくれた皆さんに会わす顔がありません。このような夫に1000万円の慰謝料を支払ってもらうことはできますか。』

  とんでもない夫です。この妻は当然に慰謝料を支払ってもらう権利があるでしょう。しかしながら・・・問題はその金額です。
この妻のお気持ちはよく推察するところなのですが,現実の裁判では,そのような金額が認められることは,まずないと思われます。

3 離婚慰謝料の支払を求める裁判では,300万円以下の支払を命じるものが多く,裁判例の一般的な傾向からすると,先の設例においては,請求する金額が多過ぎることになります。
  最終的に慰謝料の金額を定めるのは裁判所なのですが,裁判所は様々な事情を考慮して,適正と考える慰謝料額を定めることになります。この慰謝料を定める際に重要な役割を果たしているものが「婚姻期間の長さ」です。

  前回お話したように,離婚慰謝料の請求が認められるためには
@夫の不倫行為 →A夫婦間の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
という関係が認められることが必要となります。

  この関係を使って,婚姻期間30年の場合と本件の6ヶ月の場合を比べてみましょう。
@夫の不倫行為 →A30年の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛
@夫の不倫行為 →A6ヶ月の婚姻生活の破綻 →B妻の精神的苦痛

  これだけを考えると,@夫の不倫行為によって,A30年もの婚姻生活が破綻させられた場合の方が,A6ヶ月の婚姻生活が破綻させられた場合と比べて,違法性の度合いが高いことになります。30年もの婚姻生活を破綻させられた妻からすると,6ヶ月の婚姻生活を送っていたに過ぎない妻は,まだマシじゃないのよ・・・ということになるのでしょう。

  先の設例で請求した離婚慰謝料が多額と考えられる主要な理由は,婚姻期間が6ヶ月であり,とても短いからなのです。
  もちろん,裁判所が離婚慰謝料を定める際には,婚姻期間以外にも様々なことを考慮するわけなのですが,「婚姻期間の長さ」という要素はとても重要なものと考えられており,離婚慰謝料を請求する際には,注意が必要です。


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posted by benuchida at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 離婚まめ知識

2010年11月04日

慰謝料@ 〜婚姻の破綻と慰謝料〜

こんにちは。
内田法律事務所の久保田といいます。
このブログでは,離婚でよく問題となる点や個人的な疑問点,雑感などを書き記していこうと思います。
どうか宜しくお願いします。

1 離婚事件において,必ずといって良いほど問題になるのが「慰謝料」の問題です。
  「慰謝料」は,人の精神的苦痛を評価して金銭に置き換えるものです。ですから,被った精神的苦痛の度合いに応じて,その金額が増えたり減ったりすることになります。

  例えば次のような場合,妻は,夫と離婚する際に,慰謝料を支払ってもらうことはできるでしょうか。

  『 私は,現在の夫と結婚して20年になります。先月,ある日突然に,夫から勤務先の部下と不倫関係にあるから,私と離婚したいなどと言われました。余りに一方的な申し出に,私は強いショックを受け,1月ほど寝込んでしまいました。』

  この夫婦の結婚生活は,夫の不倫という一方的な行動により,破綻してしまいました。ですから,妻は,離婚する際に,夫に対して慰謝料を請求することができます。

2 この結論は当然のようですが,なぜ,この場合に慰謝料を請求することができるのでしょうか?もう少し考えてみようと思います。
  会社の同僚や友人からの心無い一言で,大きく心が傷つくことは良く経験しますが,このような場合に「慰謝料」という話題が大きく取り上げられることは少ないでしょう。
  では,なぜ離婚の際には,必ず「慰謝料」が問題となるのでしょうか。
  それは,相手方の加害行為により「婚姻関係が破綻させられた」からなのです。

  先の説例でいうと,
  @夫の不倫行為 → A夫婦間の婚姻関係の破綻 → B妻の精神的苦痛
 という関係が認められることにより,損害賠償を請求することができることになります。
  つまり,損害賠償を請求できるためには,@夫の不倫行為という加害行為のみならず,A婚姻関係という法的保護に値する利益が侵害されたことが必要になります(権利侵害の要件とか違法性の要件とか言われています。)。

  離婚問題を考える際には,このA婚姻関係の破綻という要件が,大きな問題となります。

3 さて,これを踏まえて,今度は,夫の言い分を聞いてみたいと思います。

  『 私が会社の部下と不倫をしたのは事実ですが,その不倫関係に入る前には,私達の関係は既に終わっていました。私たち夫婦は,結婚して1年もすると,男女の関係はなくなり,会話も全くないようになりました。妻は専業主婦であるにもかかわらず掃除や洗濯といった家事は一切やりません。私は,10年くらい前から,単身赴任のため妻とは事実上別居状態になっていました。』

  ずいぶんと話が変わってきました。
  もし,夫の言うとおり,夫の不倫以前から,既に婚姻関係が破綻していたならば,妻は夫に慰謝料を請求することはできません。
  なぜなら,不倫の以前から婚姻関係が破綻していたというのですから,
「@夫の不倫行為 → A夫婦間の婚姻関係の破綻」という関係が成り立たないからです。

4 今日扱った話題は「婚姻関係の破綻」に関するものでした。
  不貞による慰謝料を請求するケースでは,不倫をした方からこのような主張がよく行われます。つまり「不倫をする以前から,夫婦間の婚姻関係は終わっていた。」というものです。
  この主張により,裁判は一転して泥沼化します。裁判では,長年の夫婦生活で,こんなことがあったから関係は終わっていた,あんなことがあったから関係は終わっていない等のやりとりが繰り広げられることになります。
  不倫の証拠を確実に掴んだからといって,100%安心することはできません。不倫した方から,以前より婚姻関係は破綻していたと主張されることが多いからです。
  他方,不倫以前から婚姻関係が既に破綻していた等という主張は簡単には認められないように思います。破綻していたのなら,なぜ離婚していないのでしょう。法は「合意」離婚という簡易な方法を認めています。この破綻の主張が裁判上で簡単に認められると考えると,大きな誤りとなります。


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posted by benuchida at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 離婚まめ知識
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